WTI 2020年4月20日にWTI原油先物がマイナスになった背景

2020年4月20日にニューヨーク・マーカンタイル取引所では
WTI原油先物価格が1バレル37.63ドルのマイナスとなった。

単純にこれだけ見ると、
”えっ、なぜ原油がマイナス?”
となるが、需給関係と先物の構造から紐解けばスッキリわかる。


①需給関係
需要面ではコロナによる経済活動自粛が世界的に拡がっており、需要減。
供給面ではサウジアラビアとロシアが減産の合意が持ち越されていたことによる供給過多(4/21に5月から減産を開始と発表)

ただでさえ供給量が多かったら価格は下がるのに、
(これは身の回りのものを考えてもらえると分かりやすい。)
需要が減少するとモノを欲しがる人が少なくなる為、価格は下がる。

このようにして価格下落圧力があった


②先物の構造

先物は期日が近いモノを基本的に取引し、期日を迎えたものは期先限月へロールオーバーする仕組みになっている。ただし、現物を引き渡す際には国内の貯蔵庫が必要となる。
原油の需要減が原因で、その貯蔵庫の空きが逼迫しており、マイナスとなった。
つまり、マイナス金額は保管料の意味合いを持つ。

この時は5月限の先物が取引されていて、瞬間的にマイナスになったが、
ロールオーバーされたあとの6月限以降は16-40ドルと低水準ながら戻している。

このように色んな現象が重なり、一時的に需給バランスが崩れることもあるが、
日頃からマクロ経済、金融に触れておくと慌てなくて済むだろう。


また、右側には北海ブレント原油先物価格のチャートを載せている。
北海ブレントとはイギリス北海にある油田から採れる原油のことである。

北海ブレントは海上の油田という性質上、超過需要分をタンカーにつめる為、
空きが逼迫することはなく、価格もマイナスには陥らなかった。




WTI先物と北海ブレント先物。
同じ原油先物でも、事情が異なれば価格も変わるということです。
このような繋がりが見えてくると、チャートの学習も楽しいものになると思います。
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