チャート上段:ドル円
チャート下段:日本経常収支(月次)

日本の足元経常赤字が円安の大きな材料となっている。

2022年1月の日本経常収支はマイナス1兆1887億円と単月で過去二番目の赤字額となった。
資源高と円安により膨らんだ貿易赤字が原因となっているが、このことが嫌気され円安が進行している。

経常赤字発表の3月8日の115円から、一気に直近125円まで、わずか1カ月足らずで実に10円も円安が進行した。

ただこの日本の経常赤字だが一時的な現象で長期化はしないと思われる。

経常収支は
・貿易収支
・サービス収支
・第一次所得収支
・第二次所得収支

の項目から構成されている。

この中で変動の大きい「貿易収支」と「第一次所得収支」の二項目を注目して見ておけば良い。

ご存知の通り「貿易収支」は資源高と円安により今後も軟調に推移することが予測される。

ただもう一つの重要項目「第一次所得収支」はこのまま円安基調が続くのであれば2022年は過去最高の黒字を記録しそうな勢いだ。

「第一次所得収支」とは何かというと、日本企業の海外子会社からの資金国内流入や、海外投資からの配当・利子受取り資金流入を表す。

前回の投稿記事「ドル円分析①」で分かったように120円を超える円安水準において日本輸出企業など実需は積極的に円を買ってくるスタンスだ。

またここ2年間で日本輸出企業の海外子会社は業績の好調から大きく内部留保を積み増しており、潤沢な円買い資金を有している。

こうした構造から円安が進めば「貿易赤字」は拡大するが「第一次所得黒字」も拡大するという図式が成り立つ。

また第一次所得黒字の増加の勢いが強く、日本の経常赤字は一時的な現象と言えそうだ。

これだけドル円のファンダメンタルズにおいて日本の経常収支が注目されるのは、過去2011年から2015年にかけての経常収支悪化局面で大きく円安が進行したという背景がある。

2011年から2015年の経常収支悪化局面では当時75円から125円まで円安が進んだ。

だが2022年ドル円は既に125円の円安水準に達している。

仮に2022年通年の経常収支が2014年並みに悪化したとしても影響は限定的で、精々130円辺りまでの円安押し上げ効果しかないであろう。

また2022年度が2014年度以上に経常収支が悪化するということは現状からは考えずらい。

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次回は「ドル円分析③ 日米金利差」について書いていきたい。

日米金利差がドル円に与える影響は大きいが、正しくは「5年債利回り差」を参照しなければならない。

次回は、その辺りについて詳しく書いていこうと思う。
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