米国10年国債利回りが大幅に低下することでドル円上昇のけん引役であった日米長期金利差が縮小し始め、ドル円も140円手前を一旦のピークにして下落に転じてきています。

この投稿では、日米長期金利差の拡大・縮小がドル円の変動幅に与える影響度を過去20年の動きから調べた結果を共有したいと思います。

結論を先に書いてしまうと、
・日米長期金利差は、金利差拡大の場合にドル円上昇には大きく寄与する一方で、縮小の場合はドル円下落には”金利差拡大の時ほどに”影響しない
という傾向が見られます。



ドル円週足
以下のチャートはドル円の週足に、日米長期金利差(10年国債利回り差)(上から2段目)、ドルインデックス(上から3段目)を表示したものです。(最下段は日米の政策金利)

لقطة


上から2段目の金利差のところは、
・金利差拡大とともにドル円が上昇するフェーズは緑で
・金利差縮小とともにドル円が下落するフェーズは赤で

ハイライトしています。


それぞれの局面に振った番号ごとに上昇率・下落率を見ていくと、
①35%
②20%
③-10%
④9%%
⑤-11%
⑥34%
となっており、金利差拡大局面でのドル円上昇率が、金利差縮小時のドル円の下落率よりも大きいという傾向が見て取れます。

例外なのはリーマンショックの時で、チャート左側のAの局面でのドル円は-29%の下落率を記録しています。
この背景には2008年に入ってからFRBが断続的に利下げを行なったことに加え、金融危機というリスクオフイベントから円に逃避資金が流れ込んだことが要因と考えられます。

その後FRBは2008年後半から2015年末までゼロ金利政策を行ったのですが(チャート最下部)、リーマンショックから数年後のB、 Cの局面を見てみると、
B: -11%
C: -11%
となっています。

このB,Cの時期は、ドルインデックスも20年レンジの中央値より下の水準に位置しており、ドル安水準でのドル安トレンド局面と言えますが、それでもドル円の下落率は③や⑤の局面での下落率とほぼ同じ値であり、①、②、⑥で見られる上昇率よりも大分小さいことがわかります。


このことから、過去20年の傾向を見る限り、
日米金利差とドル円の関係は、金利差拡大時の方がドル円の変動幅へ与える影響は大きい
(金利差拡大時のドル円上昇幅 > 金利差拡大時のドル円下落幅)

ということが言えると思います。


現在は、皆さんご存知の通り歴史的と言っても良いくらいのドル高水準にあります。
その中において日米長期金利差が縮小してきても、ドル円の下落幅は限定的なものになるのではと見ています。


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