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米国株の現状分析 (220814現在)

SP:SPX   ستاندرد أند بورز 500
ここ数日の米国株はようやく息を吹き返したかのような急激な上昇を見せている。
今年に入ってからの上昇としては最大の伸びを見せているので、本格的に上昇気流に乗ったと判断して積極果敢に買い向かい始めた人も大勢いるだろう。
(いや、いるだろうではなく実際にいるから上昇しているわけであるが。)
さて、ちょうど買い向かう人が増えているこのタイミングで相場の現状を整理しておこう。

本稿では以下の視点で分析する。
・過去との比較
・ファンダメンタルおよびテクニカルで見た現状
結論としては「今すぐは買わない方が良い」である。

■過去の代表的な大暴落との比較
まず初めに過去のチャートとの類似性を確認しよう。
1段目のグラフで以下の代表的なチャートを重ねている。
・1973年 第一次オイルショック
・2000年 ドットコムバブル崩壊
・2008年 リーマンショック
・1991年 日本バブル崩壊(おまけ)
これらの大暴落直前の最高値が2022年の年初の最高値と重なるようにオフセットおよび倍率調整をかけている。
※本来はこれらのピークの絶対値は異なるが、ログスケールのため何倍してもチャートは平行移動し、その傾きは維持される。
これらを見ると、グレーの日本バブルを除く3本の同時期の価格と比較しても、特段回復したとは言えないことが分かる。実際楕円で囲んだ部分には青線と赤線があり、もう少し高いところから下落が再開している。つまるところまだ過去の暴落の範囲内なのである。
なお歴代の暴落たちは最高値から1.4年~2.6年の間にそれぞれ48% or 57%の下落をして底を打っている。そして5.5~7.5年の月日を経て最高値まで回復している。
※日本バブル崩壊の2.6年後の底だけ大底ではなく1番底としている。日経225だけはバブル崩壊からずっと最高値まで回復できず13年後にようやく大底を迎えたためである(酷すぎる)。ただし2031年あたりのグレー線および赤線に矢印で示しているように、最高値から10年以内に再び危機やショックが起こって上がるに上がれない状況になったというのは今後もあり得るので教訓にしたい。

■ファンダメンタルから見た現状
既にさんざん色々な方々の記事で言われ尽くされているとおり、2段目のグラフより逆イールドに突入し、リセッション懸念が騒がれている真っ只中である。グラフより逆イールドはリーマンショック以来であり、大暴落の1年前くらいにシグナルを発していることが分かる。
インフレ率は図示していないが、直近のニュースでは原油価格も減少し、インフレ率も前回より下がったため「ピークアウトしたか?」などと言われ始めている。ただしこれはまだ短期的に調整が入った程度の改善で、長期での改善はまだはっきりしていない。また確かに原油価格は下がっているものの天然ガスは上がっている。もしロシアが天然ガスの供給を制限し始めたら代替として再び原油価格が上がることもあり得るので油断はできない。
3段目には企業収益の前回比(3ヵ月比)を載せている。※TradingViewではUSCPRと入れると出てくるが、代表的な経済指標ではない模様。
これを見るに、前例として2008年のリーマンショック時は、逆イールドになったあたりから収益の減少がみられ、株価(1段目黒線)の減少とともに収益減少が継続し、1年ほどたってから大暴落するという流れをたどっていたことが分かる。その他の箇所でも株価がある程度下落した箇所の前後では収益の減少が起こっていることが確認できる。今のところ向こう一年は金利が下がらないことが見込まれているため、企業収益も回復しない可能性があり、次回10月の決算シーズンで悪いニュースが出始めるかもしれないため注視したい。ただ今年は11月に中間選挙を控えているため、あらゆるネガティブニュースの発表はそれ以降まで出し惜しみされる可能性もある。

■テクニカルから見た現状
6月中旬ごろから反発して、現在の価格は直近底値からちょうど半値戻しぐらいのところまで来たところである。第一関門であった抵抗線①をブレイクアウトしたかどうかと言った状態になっているのが分かる。これだけだとそのまま上がって行くようにも見える。しかしよく見ると数年前から続く抵抗線②にもぶつかっているのが分かる。2015年からこの線で何度も反発しており、強く意識されている線だというのが分かる。したがって今回もこの線が再び意識されるだろう。仮にここで反落すると次の下落で意識されるのは③の支持線となる。①の抵抗線に沿って下落が再開するとすると③の支持線にぶつかるのはちょうど直近の底値の3700ptあたりとなる。
一方で、もしこのまま抵抗線①②を突破し続けるとどうなるだろうか?次に意識されるのは第二関門の4550ptあたりとなる。過去の大暴落たちもこの辺りをうろついて結局下落しているので、ここを超えられるかが見ものである。もしこれをも超えたら相当な買い圧力であると言える。そのため第三関門である年初高値で、当時そこで買っていた人たちの含み損が0となり、安堵の売りが入るため一瞬反発するが、強い買い圧力によって一瞬で超えるだろう。
後半は楽観的なIFストーリーを並べてみたが、ひとまず目先は抵抗線②および第二関門が突破できるかを見守りたい。少なくとも抵抗線②の突破が見込めるまでは、テクニカル的には今すぐに暴落が再開してもおかしくない状態にあるため今すぐの買いエントリーはおすすめできない。「直近ではネガティブなニュースがないけど今下がることなんてあり得るの?」と思うかもしれないが、理由は簡単で、6月中旬ごろに買い向かった人が利確の売り(実際に私もいくつかの銘柄をその付近で仕込み、すでに+30%~+90%まで上昇している)、もしくは下落中盤で買った人の含み損が解消して安堵の売りを入れるためである。

以上さまざまな観点から考察したが、総合的に見て直近の上昇はまだ回復の兆しというには時期尚早だというのが結論である。また買うならもう少し前に買っておくべきであり、ちょうど今はまたいつ反落してもおかしくないポイントまで上昇してしまったため、またいったん買いを控えるのが吉である。
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